防衛医療

今日病棟師長と話していて思ったこと。
どんな治療をしていても、揚げ足をとることは可能だし、日本全国を探せばそれを支持してくれる意見書を書く医者を探すことも可能だろう。極端な話医療過誤を起こしても家族との関係が良好ならば何の問題もなく仕事は続けられるだろうし、逆に自分で誠意を尽くしたとしても家族との関係が悪ければいちゃもんをつけられる。つけられたが最後、チームが職を失う危険がある。

そう考えたとき、家族との関係を良好に保つことは大事なんだけど、遠くの家族で一回も病院に来たことのない人間なんかは話すらできず、関係の構築なんてできない。

だから近くの家族とはせめて面談を頻回に行い、その内容を「紙で」記録しておく。それにはそのときに面談した医療従事者、家族全員に署名をしてもらい、複写して病院と家族で共有する。
そうすることで「いちゃもんをつける気をなくす」ことが大事なんではなかろうか。本気でいちゃもんをつけようと思えばどれだけ対策をしても無駄である以上、戦いの場につかせないことが重要なのかな、と。

大学病院では2枚複写の紙に説明内容をいちいち書いていた。一見いい加減そうな外見の医師でもそれだけはしっかりとやっていた。今、ある程度の責任を取らざるを得ない立場に立ってみて、その理由が分かってきた気がする。