医療ルネサンス(5) 走る首長(読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/iwate/news002.htm

医療ルネサンス(5) 走る首長
窮状訴え県庁へ、他県へ

 「医師不足を考える」(仙台市)、「地域医療の現状とその取り組み」(東京都)――。宮古市の熊坂義裕市長の日程が書き込まれたスケジュール帳には、地域医療をテーマにしたシンポジウムの予定が書き込まれている。

 県立宮古病院(宮古市)の内科科長を勤めた経験のある熊坂市長が、こうした会合に積極的に顔を出すのは、1人でも多くの医療関係者に会って、宮古病院の窮状を訴えるためだ。「医者は狭い世界にいる。それぞれのつながりをたどろうと、最大限努力している」

 20の診療科を持つ同病院は昨年10月に耳鼻いんこう科、今年4月に眼科が休診となった。7月からは循環器科の常勤医師もいなくなる。宮古から岩手医科大(盛岡市)まで患者を運ぶのに2時間かかる。途中で患者の心臓がとまったらどうするんだ」。公務のない週末には、自らハンドルを握って、大学病院などをまわることもあるという。

      ◎

 「特例中の特例です。町自らが医師確保に努力をしてもらわなければ困る」。西和賀町の高橋繁町長は今春、県から同町にある国保沢内病院に新たな勤務医の派遣を言い渡された時、心からほっとしたという。

 同病院は昨年3月に外科医が、同年6月には院長を務めていた内科医が退職した。県からの派遣医師で休診は免れたが、綱渡りの状態であることは変わりない。

 高橋町長は、昨春から毎月のように助役や同病院の事務長とともに県庁通いを続ける。週末には県内各地に散らばる同病院に勤務経験のある医師のもとを訪ね、医師の知り合いがいれば、他県でも手紙を送る。

 しかし、その努力もむなしく、後任の院長確保の見通しはたっていない。それでも高橋町長は「私は絶望していない。医師は必ず来てくれる」と、あきらめるつもりは毛頭無い。

      ◎

 県は昨年9月、全国から医師を探す専門チーム「県医師確保対策室」を新設した。県立病院などでの勤務を希望する医師を3年任期で県職員として採用し、2年間勤務すれば、県職員の身分のまま、1年間は国内外の大学や研究機関で研修などを受けられる制度も設けた。

 遠野市は07年度から、県立遠野病院の勤務医師には乗用馬をプレゼントするという、馬産地ならではの苦肉の策も用意した。

 にもかかわらず、医師は集まってこない。

 「地元には医師を引き留める力はない。医師の数が増えなければ、結局は地方までまわってこない」。熊坂市長はため息を漏らす。それでも、「医師がいない現状を黙って見過ごすことはできない」。自らを奮い立たせるようにそう言葉を強める。

 地域医療を担う医師たちを求め、首長たちは走り続ける。(おわり)

なんか、この記事を見てるとギャグで言ってるとしか思えない・・・。
大学・研究機関での研修はほとんど罰ゲームだし、馬なんてもらってもごく一部の人しか喜ばない。
2時間の搬送中に心臓が止まったら? しょうがないでしょ。循環器科があっても同じ状況になりうるし。
勤労条件を改善せずに、金のかからない陳情だけで今の医療崩壊を乗り越えられると思ってるから「心の僻地」なんだろう。